障害者手帳を取るには?
本記事は、障害者手帳の取得を検討している方や手続き方法を知りたい方に向けて、手帳の種類、具体的な取得方法、そして取得によるメリット・デメリットを包括的に解説しています。障害者手帳は、身体障害者手帳、精神障害者福祉保険手帳、療育手帳の三つを総称したものであり、いずれも障害者総合支援法の対象となり、様々な福祉サービスを受けるための重要な証明となります。
障害者手帳の3つの種類とそれぞれの特徴
障害者手帳には、障害の種類や根拠法に基づいて三つの種別があり、それぞれに対象疾患や取得方法が異なります。
1. 身体障害者手帳
身体障害福祉法に基づいて発行され、視覚障害、聴覚障害、平衡機能障害など、身体に永続的な疾患がある人が対象です。障害の程度により1級から6級に区分されます。発行目的は、対象者の日常生活の支援と自立であり、自治体の各種福祉サービスを受けることができます。
- 対象とならない可能性がある例: 障害が永続的ではないとみなされる場合(例:治療に伴う一時的な人工肛門の造設)、加齢や知的障害に伴う日常生活動作不能による障害など。
- 取得方法:
- 市区町村の障害福祉担当窓口で診断書の書式を入手。
- 書式をもって指定医師を受診し、診断書を作成してもらう。
- 診断書などをそろえて窓口に申請。
- 審査を経て手帳が交付される。
- 留意点: 申し込みから交付まで約1ヶ月程度(審査に時間を要する場合はそれ以上)。有効期限はないが、等級変更や返還の手続きは窓口で行う必要があります。
2. 精神障害者福祉保険手帳
うつ病、統合失調症、不安障害、双極性障害、適応障害などの精神障害、または広義の発達障害がある人で、初診から6ヶ月以上経過している方が対象です。取得により、日常生活や社会生活を総合的に支援する障害者支援法の対象となり、自治体や企業のサービスが受けられます。障害の程度は、症状の重い順に1級から3級に分かれ、精神保健福祉センターで適切な食事、金銭管理、清潔保持などの可否をもとに判定されます。
- 取得方法:
- 居住地の市区町村の障害福祉課にて申請。
- 申請には、指定医による意見書や診断書、本人確認書類、証明写真、印鑑などが必要(詳細は各自治体で確認)。
- 基本的に本人申請だが、困難な場合は家族が代理申請可能。
- 留意点: 申請から交付まで約3ヶ月かかる。2年ごとの更新制です。
3. 療育手帳
主におおむね18歳までの発達期に知的障害と判定された児童に発行される手帳ですが、18歳以上でも知的機能により日常生活や社会生活が困難と判定されれば発行されます。これは身体障害者手帳や精神障害者福祉保険手帳とは異なり、厚生労働省の「療育手帳制度要綱」を参考に都道府県と政令指定都市が独自に定めている制度のため、地域によって名称や等級の表し方が異なります(例:東京都では「愛の手帳」、名古屋市では「愛護手帳」など)。取得により自治体が提供する各種福祉サービスを受けやすくなります。
- 判定・相談機関: 18歳未満は児童相談所、18歳以上は知的障害者更生相談所。
- 取得方法:
- 居住地の市町村の障害福祉関連の窓口で申請。
- 児童相談所等(18歳以上は更生相談所)で心理専門職による検査や医師による診察といった面接を受ける。
- 検査・診察を踏まえ、都道府県などで知的障害の有無と程度が判定される。
- 判定後、療育手帳が交付される。
- 留意点: 児童相談所での面談は予約待ちで数ヶ月かかることがあり、面談から交付まで約1ヶ月から2ヶ月かかります。
障害者手帳を取得するメリットとデメリット
メリット
障害者手帳を取得することには、主に2つの大きなメリットがあります。
- 割引や控除の適用による生活費の削減:
- 自治体によって内容は異なりますが、医療機関の受診料、公共施設や公共交通機関の利用料、携帯電話の利用料金など、日常的なサービスが割引になります。
- 保育料や税金などが対象になることも多く、生活費の支出を抑えることができます。
- 障害者雇用枠での就職機会の確保:
- 障害者雇用促進法により、企業は一定数の障害者を雇用することが義務付けられています。
- 手帳を持つことで、手帳取得者のみを対象とした**「障害者雇用枠の求人」**に応募できるようになります。
- この雇用枠で採用されると、障害に理解と配慮のある職場で働くことができ、周囲に相談できる環境があるため、安定した状態で働くことが期待できます。一般雇用枠だけでなく、障害者雇用枠も選択肢に入れられることで、就職の窓口が大きく広がります。
デメリット
対外的なデメリット、すなわち手帳を持っていることが社会生活に直接的な不利益をもたらすことはありません。しかし、唯一懸念されるのは精神的な側面です。
- 手帳を取得することで「自分は障害者である」という事実に直面し、精神的なダメージを受けてしまうケースが考えられます。特に、自身の障害や病気をまだ完全に受容できていない人や、周囲に知られることを懸念する人が取得を躊躇しがちです。
- ただし、手帳を取得したからといって不必要なレッテルを貼られることはありません。また、必要がなくなれば返却することも可能です。取得に迷いがある場合は、自身の障害としっかりと向き合った上で手続きを進めることが推奨されています。
まとめ
障害者手帳は、取得することで自治体の提供する多様な福祉サービスを受けられるようになるほか、就職の選択肢を広げるという大きな利点があります。自身の疾患や状況に照らし合わせ、適切な手帳を取得することは、障害者総合支援法に基づいたより良い暮らしを築くための第一歩となります。取得までの期間には種類によって差があるため、必要な方は早めに手続きを開始することが望ましいでしょう


