障害手当金を受給するには?

障害手当金は、公的年金制度の一つである厚生年金保険制度に設けられた一時的な支給制度です。これは、継続的に給付される障害年金(1級〜3級)とは異なり、傷病が完治または固定し、働くことに著しい制限を受ける場合に支給されます。障害年金が定める等級よりも障害の程度が低い「4級相当」と判断された場合に受給の対象となります。

障害年金とは異なり、障害手当金は案内が送られてくることがないため、制度を知らない、または請求手続きを行わないと、受給要件を満たしていても手当を受け取ることはできません。障害手当金を受け取るためには、まず障害年金の請求手続きを行う必要があります。


障害手当金を受給するための4つの要件

障害手当金は、以下の4つの要件をすべて満たしている場合に支給の対象となります。

  1. 厚生年金に加入している間に初診日があること:障害手当金は厚生年金保険の制度であるため、原因となった病気やケガの初診日において、本人が厚生年金保険に加入していることが必須です。
  2. 初診日から5年以内に症状が完治している、または医療効果がみられない状態であること:原因となった傷病が医学的に症状が治まった状態、または傷病の固定性によりこれ以上医療の効果が見込めない状態(治癒または固定)であることが条件となります。
  3. 治ったと判断される日に障害年金を受給する等級よりも症状が軽度であること:傷病が「治った日」において、障害年金3級までに達しない、すなわち4級相当の軽度な状態である必要があります。
  4. 厚生年金保険料の納付要件を満たしていること:初診日以前において、以下のいずれかの要件を満たしている必要があります。
    • 初診日のある月の2ヶ月前までに、被保険者期間の3分の2以上について、保険料が納付または免除されていること。
    • 初診日において20歳未満で、初診日のある月の2ヶ月前までの1年間に保険料の未納がないこと。

障害手当金は、病気やケガによって日常生活に支障が出る場合や、働く際に制限がかかる場合に経済的な支えとなる身近な社会保障です。


障害手当金を含む障害年金の3つの請求方法

障害手当金専用の申請用紙は存在しないため、障害年金(障害厚生年金)の申請を行った結果、3級に該当せず4級相当と判断された場合に支給されるという流れになります。

障害年金の請求方法には主に3つありますが、障害手当金は「初診日から5年を経過する日までの間に傷病が治っている」方が対象となるため、治癒または症状固定のタイミングに応じて遡及請求または事後重症請求の流れで申請することになります。

  1. 認定日請求:初診日から1年6ヶ月経過した日(またはその日までに治癒した日)を「障害認定日」とし、この日から1年以内に請求する方法です。認定日に障害状態にあると、その翌月分から年金が受給できます。
  2. 障害認定日の遡及請求:障害認定日に障害の状態に該当していたにもかかわらず、請求が遅れた場合に、最大5年分まで遡って年金を一括で請求する方法です。この場合、障害認定日時点の診断書と、請求日から3ヶ月以内の診断書の合計2枚が必要です。
  3. 事後重症請求:障害認定日には障害状態に該当しなかったものの、その後症状が悪化し、65歳になる前日までに障害状態になった場合に、請求日の翌月分から年金を受け取る方法です。請求日以前3ヶ月以内の診断書が必要です。

【障害手当金受給の注意点】

障害手当金は、症状が完治(固定)してから5年以内に請求しなければ、受給する権利が消滅します。この期限に注意し、速やかに手続きを進める必要があります。


請求手続きの方法と必要な書類

受付窓口

初診日に加入していた保険によって窓口が異なります。

  • 初診日に国民年金に加入:窓口は市町村(障害基礎年金の請求のみ)。
  • 初診日に厚生年金に加入:窓口は年金事務所または最寄りの年金相談センター(障害基礎年金・障害厚生年金の両方を請求)。

窓口では書類の確認のみが行われ、支給の有無や等級の決定は、日本年金機構から委託された認定医による書面審査で行われます。

請求に必要な書類(主なもの)

請求書類は、初診時のカルテの有無、障害の原因、家族構成などによって異なりますが、主に以下の書類が必要です。

  1. 障害年金の年金請求書:初診日時点で厚生年金に加入していたか否かによって、使用する請求書が異なります。
  2. 受診状況等証明書:初診日を証明するために、初診時に受診した医療機関で作成してもらいます。初診の医療機関と診断書を作成する医療機関が同じ場合は不要です。カルテ破棄等で証明書が作成できない場合は、「受診状況等証明書が添付できない申立書」とともに、初診日を客観的に証明できる書類(領収書、診察券など)を添付する必要があります。
  3. 診断書:障害の部位によって8種類に分かれており、日常生活で最も困難な部位を目安に医師に作成を依頼します。診断書は、年金の等級や支給決定に最も影響を与える重要な書類です。作成には時間がかかる場合があるため、早めに相談することが推奨されます。
  4. 病歴・就労状況等申立書:障害の原因となった病気やケガについて、発症から現在までの経過(受診履歴、治療経過、日常生活の状態など)を本人が申し立てる書類です。医療機関を受診していなかった期間も含め、事実を正確に記述し、診断書との整合性を確認する必要があります。
  5. その他の書類:住民票、障害手帳のコピー、戸籍謄本・所得証明書(扶養家族がいる場合)など、個別の状況によって必要書類が異なるため、事前に窓口へ確認することが望ましいです。

手続き開始から受給決定までは、目安として3ヶ月程度(場合によっては半年程度)の時間を要します。その後、決定から1ヶ月〜2ヶ月程度で年金が振り込まれます。障害手当金は一時金ですが、その権利を失わないよう、症状固定から5年以内に請求手続きを行うことが極めて重要です。


さいごに

障害手当金についてさらに詳しく知りたい場合、またはご自身の状況で受給要件を満たすか確認したい場合は、お住まいの地域の年金事務所や市区町村の窓口へ相談することをおすすめします。

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